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電気自動車の電気代の考え方 ポイントは燃費と夜間プラン

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2016.04.28

電気自動車の購入を検討していると、どれくらいの電気代(燃料代)がかかるのか気になりますよね。

燃料費のおおよそがわかれば、維持費の目処が立ちます。車を購入するうえで、事前に必ず確認しておきたい部分ですね。

そこでこの記事では、電気自動車でかかる電気代の計算方法とともに、その燃費についても解説します。
燃費については、電気自動車の国内主要メーカーである日産リーフと三菱リーフだけでなく、ガソリン車、ハイブリッドカーとも比較します。
ほかにも、電気自動車を利用するにあたっての節約のポイントなども解説しますので、電気自動車の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.電気自動車(EV車)の燃費の考え方

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電気自動車の燃費について考える前に、エコカーとしてひとくくりにされがちな電気自動車とハイブリッドカーの違いを確認しておきましょう。

1-1.エコカーといわれる車の仕組み

電気自動車は、モーターのみを動力源としており、バッテリーに蓄えた電力を使って走行します。
燃料となるのは電気で、バッテリーはコンセントから直接充電します。
ガソリンを使わないので、走行中に二酸化酸素などを含む排気ガスがは排出されません。

同様に、モーターを動力源として持つのが、ハイブリッドカーです。ただしこちらは、ガソリンを使ってエンジンで走行するのが基本です。
走行状態によって、「エンジンのみ」「モーターとエンジンの併用」「モーターのみ」と、動力源が切り替わるのが特徴です。
モーターを動かすエネルギーは、ブレーキで生じた運動エネルギーを蓄えて使用されています。

そして、同じハイブリッドカーでも、より電気自動車に近いのがプラグインハイブリッドカーです。
こちらもエンジンとモーターを動力源として持っていますが、基本的にモーター走行を行います。
モーターのエネルギー源は、電気自動車のようにコンセントから直接充電します。エンジンは補助的な役割です。
モーター(エンジン)をよりストレスなく使えるのが、プラグインハイブリッドカーのメリットといえるでしょう。

1-2.燃費とランニングコストの計算

1-2-1.燃費の計算

電気自動車の燃費の考え方は、ガソリン車と違いはありません。
ガソリン車ではよくリッター何kmと表しますが、電気自動車では1kWh(1kwの電力を1時間消費したときの電力量)でどれだけの距離を走ることができるかを燃費として考えます。

計算としては「走行距離÷消費する電気の量」で燃費(1kWhあたりの走行距離)が求められます。
例えば、100km走るのに10kWhを使用しているならば、燃費は1kWhで10kmということです。
ただ実際は、車ごとに1kWhあたりの走行距離が公表されていますので、自分で計算する必要はあまりないでしょう。

1-2-2.ランニングコストの計算

ランニングコストとは、簡単にいうと物を使うためにかかる費用のことです。車では燃料費のほか、メンテナンス費用やオイル代などがランニングコストにあたります。

電気自動車の場合は、ガソリン車に比べ部品が少なく、メンテナンスすべき箇所が少ないので、月にかかる燃料代のみをランニングコストと考えればよいというメリットがあります。

では、具体的に例を挙げて考えてみましょう。
月に充電で使用した電気の量が、40kWhだったとします。

月の燃料費(電気代)を求めたいときは、契約している電力プランの1kWhあたりの電気代を掛け算してみましょう。
1kWhあたりの電気代は、各電力会社の公式サイトで確認することができます。
これで、1か月の燃料費が計算できます。

1-3.遠出はしにくい

燃費と合わせて考えたいのが航続距離、つまり最大でどれだけの距離を走れるかです。

現状では、電気自動車の航続距離はあまり長くなく、遠出は容易ではありません。
日産リーフの30kWhバッテリーの車種で、航続距離は280kmです。
充電が満タンな状況なら280kmを走れるということですが、この距離はあくまでも理想値です。
坂道や渋滞が多いと、実際の航続距離は280kmよりも短くなります。

そして、遠出を難しくする最大の理由が、移動中に充電がしにくいということです。
電気自動車の充電施設は、ガソリンスタンドのように気楽に利用できないのです。

日産のホームページによれば、全国1,700か所の日産のお店に急速充電器が設置されており、これを含めて全国で約21,000基の充電インフラが整備されています。
しかし、充電インフラの設置状況は地域差があり、全ての都道府県でこの数字ほどの便利さは感じられないのが現状です。

また、充電には時間がかかるのも問題です。充電中の先客がいた場合、30分ほどの順番待ちが発生します。
このような充電の環境を考えると、やはり遠出はしにくいですね。

2.エコカーとガソリン車の燃費を比較

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電気自動車のメリットとして、燃費の良さが挙げられます。
ここでは、国内主要メーカーの電気自動車とハイブリッドカー、ガソリン車で燃費を比較してみましょう。

ガソリン価格については、経済産業省資源エネルギー庁が発表したものを使用します。
2016年3月24日に発表されたガソリン小売価格は、1リッター「112.9円」です。

電気料金については、東京電力の新プラン「夜トク8」の夜間単価1kWhあたり20円78銭を想定します。
これは、多くの電気自動車ユーザーが、夜間の電気使用がお得なプランを選んでいるためです。

2-1.電気自動車(日産リーフ)の場合

日産のリーフは、2010年に発売を開始した電気自動車です。

2-1-1.特徴

日産リーフは、ガソリン車やハイブリッドカーと比べて、発進時だけでなく通常走行時も音が静かです。

また、2015年からは30kWhの大容量が登場しました。前述のとおり、30kWhバッテリーで280km走ることができます。

2-1-2.価格

当初の販売価格は376万4250円でしたが、オプションの少ない廉価グレードが334万9500円で登場しました。
その後、全グレードで値下げが行なわれ、現在では廉価グレードが280万3680円となっています。

2-1-3.燃費

1kWhあたり走行距離は、約9.3km(30kWhバッテリー)です。

200km走行時の電気代は、約446円です。
200km÷9.3km×20.78円=446円

2-2.電気自動車(三菱ミーブ}の場合

三菱では2009年から、軽自動車「アイ」をベースにした「アイ・ミーブ」を販売しています。

2-2-1.特徴

ベースが軽自動車であるミーブは、同じ電気自動車である日産リーフと比べて、ボディがコンパクトです。

また、軽自動車規格ですので、徴収される自動車税も「軽自動車税」です。日産リーフと比べると、年間2万円以上お得になります。

ちなみにミーブには、軽バン「ミニキャブ」ベースの「ミニキャブ・ミーブ」、軽トラック「ミニキャブ・トラック」ベースの「ミニキャブ・ミーブ・トラック」が販売されています。

2-2-2.価格

アイ・ミーブの販売価格は226万1520円からで、バッテリーは10.5kWh(航続距離120km)と16kWh(同180km)があります。

ミニキャブ・ミーブの販売価格は179万9280円からで、バッテリーは10.5kWh(航続距離100km)と16kWh(同150km)。

ミニキャブ・ミーブ・トラックの販売価格は158万2200円からで、バッテリーは10.5kWh(航続距離110km)となっています

2-2-3.燃費

1kWhあたり走行距離は、約11.25km(16kWhのバッテリー)です。

200km走行時の電気代は、約369円となります。
200km÷11.25km×20.78円=369円

2-3.一般的なガソリン車(日産ノート)の場合

一般的なガソリン車の例として、日産のノートを挙げてみましょう。

2-3-1.特徴

日産ノートは、2004年から販売しているコンパクトカーです。
2013年上期においては、ハイブリッドカーと軽自動車を除いてナンバーワンの売り上げを記録しています。

2-3-2.価格

販売価格は147万9600円からです。

2-3-3.燃費

リッターあたりの走行距離は、約26.2kmです。

200km走行時の燃料代は、約861円となります。
200km÷26.2km×112.9円=861円

2-4.ハイブリッドカー(トヨタプリウス)の場合
トヨタプリウスは、1997年から発売を開始した世界初の量産型ハイブリッドカーです。

2-4-1.特徴

2015年には4代目が登場。こちらが2015年12月の販売台数で16406台を記録し、登録車でトップに躍り出ました。

冒頭で解説したとおり、ハイブリッドカーはモーターを動力源として持っていますが、ガソリンエンジンで走行するのが基本です。

2-4-2.価格

販売価格は、242万9018円からです。

2-4-3.燃費

リッターあたりの走行距離は、約40.8kmです。

200km走行時の燃料代は、約553円となります。
200km÷40.8km×112.9円=553円

2-5.比較

一般的なガソリン車と比べると、電気自動車とハイブリッドカーの燃費の良さがよくわかります。

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ただ、ハイブリッドカーと電気自動車のランニングコストの差は、思ったよりも開いていない印象です。
これは、2016年3月現在のガソリン価格が、安値で推移しているためでしょう。

当然ながら、ガソリン代が上がればこの差は広がります。逆に電気代が上がることがあれば、この差は縮まります。
このように、ランニングコストの比較は、必ずしも車の性能のみでは決まらないということには注意しておきましょう。

3.電気代を節約するための方法

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3-1.夜間の電気が安いプランにする

各電力会社が提供する電気料金プランのなかには、夜間の電気使用がお得なプランがあります。
電気自動車の電気代を節約するためには、この夜間の電気料金が安いプランを選ぶと良いでしょう。

ここでは、東京電力の新プラン「夜トクプラン」「スマートライフプラン」を例に挙げてみましょう。

「夜トクプラン」の夜間電力量単価は20.78円。「スマートライフプラン」の夜間電力量単価は17.46円となっています。

一般的なプランである「スタンダードS」が、300kWhまで23円40銭、300kWh以上で30円02銭なので、その安さがわかると思います。
※スタンダードSは時間ではなく、月の使用量で電気代が変動します。

また、夜間に充電するべき理由として、電気自動車のフル充電には8時間はかかる(日産リーフの場合)点と、電力の消費量が高いという点が挙げられます。

消費電力が大きいと、ほかの家電と合わせて使ったときにブレーカーが落ちてしまう可能性があります。
この状態が8時間も続いてしまうわけですから、ほかの電気製品を使わない夜間に充電するのが良いというわけです。

3-2.メーカーの充電スポットを利用する

電気代を節約する方法として、公共施設や自動車メーカーの充電スポットを利用する方法があります。

前述のとおり、全国1700か所の日産のお店には急速充電器が設置されています。
日産ゼロ・エミッションサポートプログラムのスタンダードプラン(税抜月額3000円)に加入すると、多くの急速充電器が無料で利用できます。
加入していない場合は、1分あたり50円の料金が発生します。

このプログラムが適用される施設で充電を済ませてしまえば、充電にかかる費用を月額料金だけで済ませることができるわけです。

月の走行距離や日産のお店が近くにあるかといった利便性を合わせて、検討してみるとよいでしょう。

4.電気自動車ならではの費用

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4-1.充電設備工事(コンセント工事)

ほかの車種ではかからない、電気自動車ならではの費用が存在します。
まず、充電設備の工事(コンセント工事)費用です。

電気自動車の充電には基本的に200ボルトの電圧が必要とされています。家庭用コンセントの電圧は100ボルトなので、新たに工事が必要なのです。

日産リーフのホームページによれば、コンセントの設置手順は以下のようになっています。
①リーフの充電を考慮したブレーカーを設置
②分電盤から屋外の200ボルトコンセントまで、専用の線を配線
③分電盤の外に「EV専用漏電ブレーカー」を設置
④手元用のスイッチと防滴ケースを設置
⑤屋外に200ボルトコンセントを設置

このような電気工事には資格が必要なため、業者にお願いすることになります。
これらすべての工事で、費用は10万円ほど。期間は2日間ほどかかります。

4-2.バッテリーの寿命による交換

コンセント工事と並ぶ電気自動車ならではの費用として、バッテリーの交換費用が挙げられます。

携帯電話などで体験されていると思いますが、バッテリーを使い続けると充電できる量が減っていきます。
バッテリー容量が低下することで走行距離が落ちてしまいますので、バッテリーを交換する必要が出てくるのです。
バッテリーの交換費用は、約60万円です(日産公式の質問サイト RealOwners.RealAnswers参照)。

なおバッテリーは、およそ10年20万kmが交換のタイミングといわれています。
ただし、エアコンの使用やフル充電後の長期間放置などにより、寿命は縮んでいきます。

もっとも、維持費用がかかるのは電気自動車だけではありません。
ガソリン車でもオイル交換やエレメント交換などの維持費用が、毎回3000円以上かかります。

日頃の燃費の良さなども考慮したうえで、バッテリーの交換費用が高いのか安いのかを考えてみるとよいでしょう。

5.まとめ

電気自動車の購入を検討する際は、燃料費の比較だけでなく、設備投資の費用も含めて考えてみましょう。

航続距離には不安がありますが、その分化石燃料であるガソリンを使用せず、排気ガスが発生しないのは大きな魅力です。
自宅に太陽光発電を設置している、オール電化住宅であるといった環境なら、より電気自動車の魅力を引き出せるでしょう。