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建築士が教える住宅間取りの基本(5つの間取り図付き!)

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2016.01.27

住宅を新築する際に多くの方が頭を悩ませるのが、間取りではないでしょうか。
まず、何から始めたらよいのか、悩んでしまいますよね。
ある程度決まったという方も、実は不安がありませんか。

この記事には、そんな間取りを検討中の方のヒントとなる情報が盛り沢山です。
注文住宅の間取りを考えるときに知っておきたいこと。
間取りで失敗しないために押さえておきたいこと。
より良い住まいづくりのために必要な知識。
住宅の間取りを考えるために必要なことを基本から紹介しています。

また実際に、おすすめのポイントを踏まえた間取り図も紹介します。
いろいろな間取りの例を知りたいという方も、ぜひ参考にしてください。

間取りはその住宅のプランとも言い、生活のすべてに関わります。
より良い住まいを作るために考えることは、挙げればきりがありません。
間取りについて考える方は、是非ご一読くださいね。

1.間取りを考える前に確認すること

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間取りを考える際、基本的な情報や予備知識を確認しておくとスムーズに事が進みます。

また、正しい情報を持っていることで設計者に要望が伝えやすくなりますし、よりよい提案を受けるきっかけにもなります。
土地がお決まりの方は、思い浮かべながら読んでみてくださいね。

それでは、間取りを考える前にまず知っておきたいことをご紹介していきます。

1-1.住宅用語を確認しよう

住宅の間取りを考えはじめると、必ず目にするのが「○LDK」などの住宅用語です。
まず始めに、数ある住宅用語や不動産用語のなかから、特に知っておきたいものを確認しておきましょう。

1-1-1.LDK

Lがリビング(居間)、Dがダイニング(食事室)、Kがキッチン(台所)の頭文字のことです。
いくつか例を挙げて確認してみましょう。

「3LDK」とは、LDKのほかに個室が3部屋という意味になります。

「LDK20畳」とは、LDKを合わせて20畳という意味です。L、D、Kそれぞれの広さを確認するようにしましょう。

LDKを知っておけば、くつろぎに使えるスペースや、作業に使えるスペースなどを正しく把握することができます。

1-1-2.ウォークインクロゼット

ウォークインクロゼットとは、人が中に入って、物の出し入れが出来る広さを確保したクロゼットのことです。
人が入れない広さのものは、そのままクロゼットと呼びます。

ちなみに食品庫のことは、人が入れるものもそうでないものもパントリーと呼ばれます。

1-1-3.居室

日常的に過ごす部屋のことを居室と言います。住宅では、LDや寝室が該当します。
キッチンや洗面室、トイレなどは居室と呼びません。

建築基準法上では居室とするために、採光、換気、排煙、仕上げ材の条件があります。
基準をクリアできない部屋は、「納戸」や「サービスルーム」と表記することが一般的です。

1-1-4.納戸

独立した物入れ専用の部屋を納戸と言います。採光が確保できない居室のことも納戸と呼ぶことがあります。
サービスルームやSと表現されることもあります。

1-1-5.シューズインクロゼット

土足のまま入れるウォークインクロゼットのことをシューズインクロゼットと言います。
靴はもちろんのこと、ベビーカーや自転車、アウトドアグッズといった外で使われるものの収納に便利で、高い人気を集めています。

土足で使うことを前提とされていますので、玄関から続きで作られることが多いです。

1-1-6.建蔽率、容積率

建蔽率、容積率とは、その土地に建てられる建築物の面積の制限のことです。建築基準法や都市の条例によって決められています。

たとえば建蔽率50%なら、土地の面積に対して50%以内の建築面積であれば建ててOKということ。
容積率80%なら、土地の面積に対して80%以内の延べ床面積であれば建ててOKということになります。

1-1-7.北側斜線、道路斜線

北側斜線、道路斜線とは、建築物の高さの制限のことです。こちらも建築基準法や都市の条例によって決めらています。
北側斜線はその土地の真北から、道路斜線はその土地が面した道路から検討します。

この制限によって、部屋の天井が一部低くなってしまう「母屋下がり」などを検討する必要が出てくることがあります。

角の土地や公園に面した土地などには緩和措置がありますので、設計担当者によく確認しましょう。

1-1-8.動線

動線とは、住宅の中で想定される日常的な人の動きを線で表したものです。

よく使われるのは「家事動線」という言葉で、これは家事をする際に想定される人の動きを言います。
動線については、「2-3.生活動線について 」ででも解説します。

1-2.土地の形状にあった間取りを考える

土地は、実に様々な形状をしています。

より暮らしやすい住まいにするためには、家族の要望に加えて、その土地に合った間取りを考えることから始めます。

土地の方角や前面道路の位置を正しく把握することは、その土地に合った間取りを考える上でとても重要です。

たとえば、玄関の位置が道に接している部分の真逆にあったらとても不便ですし、防犯的にもよくないですよね。

周辺に住宅があればよく観察して、どの方角にどの部屋があるのかイメージを掴んでおくと良いでしょう。
バルコニーの位置や日の当たり具合などを参考にするのも良いですね。

その土地の形状を把握したうえで、家族の要望と照らし合わせ、土地の良さを最大限に発揮できる適したプランを考えましょう。

1-3.周囲の環境にあった間取りを考える

土地のおかれた環境は、土地の形状と同じく実に様々です。

たとえば、人通りが多い道路に面した土地であれば、外部に開けた間取りよりも外部からの視線を避けることを意識した方が安心して暮らせます。
中庭を設けて、そこから採光を得るのもいいですね。

逆に森林に囲まれた静かな土地であれば、デッキを設けるなどして外部に開けた計画にすれば素敵な暮らしが想像できます。

その土地のおかれた環境の気持ちの良い部分を上手く取り入れ、そうでない部分は防ぐことが大切です。

1-3-1.取り入れたいものの例

ここで、具体的に取り入れたいものの例を挙げてみましょう。

・隣地の公園や庭園などの美しい植栽

・景色、花火や夜景

・朝日や木漏れ日など気持ちのいい日差し

適した位置に開口部を設けて上手く取り入れれば、住まいがより気持ちのいい空間になります。

1-3-2.防ぎたいものの例

それでは逆に、防ぎたいものの例もみてみましょう。

・隣地や周辺道路からの視線、騒音、過度な光

・ゴミ捨て場の悪臭

・落ち葉などによる弊害(雨樋が詰まる等)

・西日などの不快な日差し

治安によっては、フェンスを設置するといった工夫や外廻りの防犯の検討をしましょう。
また、お隣さんと窓の位置が一致しないように配慮することも大切です。

1-4.家族のなかで優先順位を確認する

土地や周辺環境を考慮した上で、家族のなかでの要望を固めます。
そして、いよいよ間取りを考える段階に入ります。

ただ、家族のなかで要望を固めるプロセスは、個々が意見を出し合うだけではいつまでもまとまりません。
場合によっては、一番大変な行程になるかもしれません。

要望を固める際に有効なのは、優先順位を決めるということです。
要望の優先順位を決めるということは、諦めることを決めるということにもなります。
もちろん、全てのこだわりを叶えることが理想ですが、それが困難な場合もあるわけです。

土地は多くの場合で限られたスペースなわけですから、優先順位を決めて、より暮らしやすい住まいを目指した方がいいでしょう。
それが、より満足度の高い住まいを実現することにつながります。
本当の目的を見失って失敗してしまうことだけは避けたいですね。

1-4-1.家に長時間いる人が優先

基本的に間取りを考える上では、家に長時間いる人が優先されます。
使う時間が短い部屋などは優先順位が低いので、諦める対象となることが多いことを理解しておきましょう。

たとえば、「子育ては間取りで変わる 子育て中の建築士がおすすめ間取り図で解説」で解説しているとおり、子育てに特化した間取りを構築してしまうのも方法のひとつです。

子供を基準にして、走り回っても大丈夫なように障害物をなくすことが、意外とバリアフリーにつながったり、生活動線をスムーズにしたりします。

1-4-2.設計者へ優先順位を伝える

設計者へ要望を伝える際に明確な優先順位を決めておけば、イメージに沿った提案をしてもらいやすくなります。
可能であれば手描きでも簡単に間取りのイメージを描いておくと、伝わりやすくなるでしょう。

2.間取りを考える上で押さえたいポイント5選

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間取りを考えていくにあたって誰もが考えるのは、家族全員が気持ちよく暮らせる家にしたいということではないでしょうか。

家族の生活に寄り添い、光や風を上手く取り入れたプランは、よりよい暮らしにつながります。
そのために、これだけは押さえておきたいというポイントを5つ紹介します。

2-1.採光で気持ちの良い空間作り

採光は気持ちの良い空間づくりに欠かせません。

気持ちの良い採光が得られる住まいにするためには、これから暮らす土地で、どの位置が一日を通して気持ちの良い場所かを知ること必要です。
また、逆に採光が望めない場所を正しく知っておくことも大切なことです。

そのためには、一日(可能であれば一年)を通して土地をよく観察して、イメージを膨らませておきましょう。

間取りを考えるとき、一般的に東西南北に適した部屋を配置することから始まります。
たとえば、居室などの人が長時間過ごす部屋。これは南東に面した、一日を通して気持ちの良い採光が確保できる場所に配置します。
トイレや浴室などの水廻りは、北西の夕日が差し込む場所や採光がうまく確保できない場所に配置するのが一般的です。

しかし、その土地によって採光や通風の条件は様々です。
全てに東西南北の常識が当てはまるとは限りません。

嫌われがちな西日ですが、もしその土地に西日を避けられる植栽があれば、気持ちの良い採光に変えてくれることもありますよ。

その土地によって得られる採光は様々ですので、事前の観察は欠かせないプロセスとなるのがわかりますね。

2-2.風はどのように通るか

家の中にいても、風を感じられると気持ちがいいものですよね。
是非とも自然の風は、採光とともに取り入れたいものです。

風を上手く室内に取り入れるためには、窓の配置が重要になってきます。
窓の配置を考える際は、以下のことを考慮しましょう。

2-2-1.一部屋に2箇所以上窓を取り付ける

気持ちの良い風は、通り道がないと入ってきません。出来れば、一直線で結べる対面した位置に窓を設置するように心がけましょう。

間取り図があれば、窓と窓を線で結び、その線が複雑にならないようにすることを心がけると、風を呼び込みやすくなります。

2-2-2.高い位置と低い位置に窓を取り付ける

低い位置の窓は冷たい空気を取り入れることに有効で、高い位置の窓は温まった空気を逃がすことに有効です。
熱気を逃がすためには、吹き抜けを活かすことも有効な手段です。

窓の高さを考える際には、視線を逃がしたり、防いだりすることも合わせて考えられるとさらに良いですね。

2-2-3.窓の種類を考慮する

一日中開放できる窓を設置することで、気持ちの良い風を家の中に流し続けることができます。

通風のための窓であれば、上げ下げ窓や縦すべり出し窓など、小さくて価格の安い窓を計画すると経済的でもありますよ。

2-3.日々の暮らしをイメージする生活動線

生活動線を知ることは、その家庭に合った間取りを考える上でとても重要なものです。

正しい生活動線を考慮することは、より暮らしやすい住まいへの近道と言えます。

まずは家族一人ひとりの日常的な一日の動きや流れを想定し、使う部屋と部屋の中にいる時間を書き出して、情報を整理してみると良いでしょう。

可能であれば、現在だけでなく5年後、10年後も想定してみましょう。 将来的に必要になる両親の介護、巣立つ子供や増える子供など、今とは違う家族構成まで考えておくと、より長く住みやすい暮らしを実現できます。

考え方の例として、「子育ては間取りで変わる 子育て中の建築士がおすすめ間取り図で解説」の「3.子どもの成長を見越した間取り」をご覧いただけると、参考になると思います。

間取り図が出来上がったあとでも、家族一人ひとりの動線を図面に書いてみることで、住みやすさや問題点の確認になります。 生活動線の確認は、間取りを変更する度に行うといいでしょう。

2-4.家電と家具の配置

便利な日常生活に家電と家具は欠かせません。
後回しにしがちですが、間取りを考える時点で使用する予定の家電・家具の寸法や位置も計画しておきましょう。
この時点から計画しておくことで、後々コンセントや照明の位置を検討しやすくなります。

家具の配置が決まったら、設計者に伝えて図面に書き込んでおいてもらうと間違いがありません。

2-5.外構計画もお忘れなく

庭やアプローチの計画も、暮らしやすい住まいを考えるためには大切です。

特に忘れがちなのが、いま車を所有していないご家庭の駐車場の計画。
将来的に車を何台所有するのか、所有する予定はないのかなどは検討しておきましょう。

また、外に設置する水栓も配管が必要になるため、間取りを検討する時点で決めておきたい項目のひとつです。
お湯の必要性や、外水栓の使い道などを考慮した上で、丁寧に計画しておきたいですね。

3.失敗しがちな間取り5選

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注文住宅の間取りを考える際には、日常生活で起こり得るあらゆることを想定します。
しかし残念なことに、悩みすぎた結果や考えが及ばなかったことで、住んでから思わぬ不便さに気付くことがあります。

そんな失敗しがちな間取りの例を5つご紹介します。

3-1.開放的な空間は臭いも通る

LDKを一体化し、開放的な空間を演出するオープンスタイルのキッチンが人気で主流になってきています。

そんなオープンキッチンに多い失敗例が、料理の際に油などの好ましくない臭いが部屋中に充満してしまうというもの。
IHクッキングヒーターは性質上、臭いと熱が広がりやすいので、特にこの失敗が発生しやすくなります。

また、開放的な空間は臭いだけでなく、視線や音も通ってしまいます。

そのことをプランの段階で理解しておき、可能な限りの予防をしておくことで、生活が始まってから失敗したと感じることを防げます。

3-2.コンセントの場所が悪い

コンセントの計画が疎かになると、コンセントが家具やカーテンに隠れて使いにくい、数が足りないといった失敗につながります。

蛸足配線や延長コードだらけの生活にならないためにも、家具の配置計画や動線の確認は入念に行いましょう。

照明のスイッチやエアコン、分電盤などの高い位置に設置するものや、外部のコンセントはしっかりと計画しておきたいですね。

3-3.西日が差し込む

西側に窓を設けてしまったことで、不快な西日が差し込んでしまうという失敗例が起こります。

特に夏の西日は、ジリジリと焼けるような熱さを保ったまま、目線の高さで部屋に差し込みます。
紫外線によって食品が傷んだり、家具の色あせなどが進んでしまうこともあるのです。
西側の窓はどんなに小さくても、カーテンやブラインドの設置が必須と言えます。

西側に日差しのクッションとなる建物や植栽がない場合、窓の設置計画は慎重に行いましょう。

3-4.水廻りがあちこちにある

水廻りとはキッチンや洗面化粧台、トイレなどの水を使う器具を設置する部屋のことです。

この水廻りは、可能な限り近い位置に集めることをお勧めします。
水廻りを集約させることで、多くのメリットを得られます。

・工事費が比較的安くなる
・メンテナンスがしやすくなる
・排水音が気になりにくい
・プランに無駄がなくなる

逆に水廻り同士を近い位置に計画しないと、以下のような事態が発生してしまいます。
・給湯器から遠い水廻りはお湯が来るまでに時間がかかり、結果的に光熱費が無駄になってしまう
・家事動線が悪くなる
・メンテナンス用の点検口が複数必要になる
・居室で水を使う音が気になる

間取りがまだ固まっていない方は、水廻りを集約させられるように心がけてみましょう。

3-5.排水の計画は音も考慮する

入居後に気付くことで、完成後だと対処が難しいことのひとつに、排水音に関する失敗が挙げられます。

寝室の近くにトイレを作ると、家族の排泄音が寝静まった部屋に響いてしまうといったことが起こります。
夜間のトイレへのアクセスを便利にしようとしたときの思わぬ失敗です。

最近主流のタンクレストイレは流す際の音が大きいので、音がほかの部屋まで届いてしまうこともあります。

思いがけない排水音は気になってしまうものですし、決して気持ちの良いものではありません。
トイレの位置は間取りを考える段階で、充分に注意しましょう。
対策として、壁に断熱材を充填したり、内装材を吸音性に優れたものにするなどすれば、ある程度の音漏れは防げます。

また、二世帯住宅のように上の階にキッチンや浴室などの水廻り器具を設置する場合も、予め防音に配慮した排水管を必ず使いましょう。

そして、水廻りの下には他世帯の居室は設置しないよう心がけるなどして、防音対策は計画段階から行うようにしましょう。

4.見てわかる! おすすめ間取り5選

それでは、実際にどのような間取りがおすすめといえるのでしょうか?
一般的な広さである住宅で、様々な家族構成と要望を想定した5つのプランをご紹介します。

4-1.間取り①「夫婦+子供2人(小学生と幼稚園児) 32.2坪」

リビングを通る階段と、2階の共用ホールで家族間のコミュニケーションを大切にしたプランです。
子供室の入り口を2箇所にすることで、将来的な計画も考慮されています。

「住宅間取」図1

4-2.間取り②「親夫婦+夫婦+子供2人(小学生) 46.5坪」

二世帯住宅で、下の階を親世帯、上の階を子世帯が住むことを想定したプランです。
玄関横の一枚扉のみでつながっており、水廻りも完全に分離させることで、お互いが各世帯の暮らしに干渉しないように配慮されています。

「住宅間取」図2

4-3.間取り③「夫婦+子供2人(大学生と高校生) 36.2坪」

子供たちが大きくなっているため、各人の生活スタイルやプライバシーを尊重したプランです。
将来的に妻の母親が同居することを考慮して、一階には和室を設けています。

「住宅間取」図3

4-4.間取り④「親夫婦+夫婦+子供2人(小学生) 33.9坪」

妻の親夫婦と子世帯が2世帯で暮らすことを想定したプランです。
1階の通路を広くすることで、将来的な介護に備えています。

「住宅間取」図4

4-5.間取り⑤「夫婦2人 27.9坪」

平屋建ての、子育てを終えた夫婦が暮らすことを想定したプランです。
平屋建ての特性を活かし、開口部を多く設けることで通風、採光が豊富に確保できます。

「住宅間取」図5

5.おわりに

基本的なことを中心にお伝えしましたが、より良い家づくりにためにはこのほかにも考えたいことが多く存在します。

ただし、考えすぎは禁物です。
楽しいはずの家作りが、苦痛やストレスになってしまいます。
パートナーとなる設計者と一緒に、知識や夢を共有しながら完成まで楽しく家づくりができるといいですね。