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「電力の小売自由化」が4月1日より開始! 太陽光発電の新旧メリットを総括

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2015.12.14

家に太陽光発電を取り付けて、お得になるのか。
そして、高いお金をかけるだけの価値はあるのか。
太陽光発電に興味を持っている方の関心は、ここに集約されると思います。

この記事ではそんな疑問を解消するべく、太陽光発電のメリットを一から解説していきます。
初歩的なことから確認しますので、太陽光発電を検討し始めたばかりの方にも安心して読み進めていただけます。

また、既存のメリットの確認だけではなく、新しいメリットについても考えてみます。
実は2016年4月から始まる「電力小売り自由化」では、太陽光発電が新たな役割を担うことが期待されているのです。
そんな最新のメリットについても解説しますので、太陽光発電を検討している方だけでなく、すでに太陽光発電を設置しているという方にも新たな発見があるはずです。
メリットを知って、太陽光発電をフル活用できるようになりましょう。

1.発電した電気を売って利益が得られる

太陽光発電の最大のメリットは、発電した電気を売って利益を得られることです。
では、そもそも電気を売るとはどういうことなのでしょうか。

取り付けた太陽光発電によって生み出された電気は、そのまま家庭で利用できます。
しかし、発電量によっては自宅だけで使い切れないこともあります。
そんなとき、電気は溜めておくことができないので、余った電気の行き場がなくなってしまいます。
そこで余分な電気を電力会社が買い取ってくれるのが、売電制度というわけです。

太陽光発電メリット2

売電制度は二種類あり、発電の規模によって分けられます。

【全量買取制度】
発電した電気を全て売ることができます。10kW未満の発電容量の場合は、利用できません。

【余剰電力買取制度】
発電して余った電気だけを売ることができます。発電容量を問わず利用できます。

ちなみに、発電容量の平均は4.56kWです。多くの方は余剰電力買取制度を利用することになります。
参考:太陽光発電普及拡大センター「平成年26度住宅用太陽光発電補助金交付決定件数(対象期間:平成26年4月1日~平成27年2月23日)

太陽光発電のコストを考える上で、売電によって得られる利益はとても重要です。
これによって、太陽光発電にかかるコストの元が取れてしまうわけです。
かつて太陽光発電は、元を取るどころか大きな利益を得られると言われていました。
現在はどうなのでしょうか。

1-1.売電による利益の計算方法

では、具体的に売電によってどれくらいの利益が得られるのかみていきましょう。

例えば、東京で5kWの太陽光発電を設置したとして
計算してみると、年間で約8万円程度の利益となります。

どのような内訳になっているか、みてみましょう。

太陽光発電メリット1

まず、東京で予想される年間の発電量について調べてみます。
パナソニックや東芝などのメーカーが提供している、年間予想発電量を参考にするとよいでしょう。
それらを確認すると、東京では5kWの発電能力を持つ太陽光発電で、年間約5500kWhの発電量が見込まれます。

対して消費電力は、家庭1軒あたりの1カ月平均使用量が254.8kWhです(出典:東京電力)。年間では約3000 kWhの電気が使用される計算となります。

発電量(5500kWh)から使用量(3000kWh)を引くと、余剰電力は約2500 kW。この電力を売電できる計算となります。
2015年度の売電価格は33円/kWh(出力制御対応機器設置義務ありの場合は35円/kWh)なので、
2500✕33=82500
年間で約8万円の利益となります。

また、従来は電力会社に支払っていた年間約3000 kWhの電気代、約7万円分も浮きました(従量電灯B料金にて概算)。

これらを合わせると、
8万円(売電収入)+7万円(支払わずに済んだ電気代)=15万円
太陽光発電の設置によって年間15万円の利益が得られる計算となります。

以上は、非常に簡略化した計算です。
実際には、太陽光発電は夜間に発電できないので、夜に使用した分の電気代がかかります。
また、雨や曇りの日など、発電量が落ちる日も同様に電気代がかかります。

発電量は、太陽光パネルの性能や気象条件といった条件によって様々です。
実際の発電量はもっと多いこともあれば、少ないこともあります。
この計算はあくまで参考として考えてください。

1-2.売電価格は10年または20年保証される

実は売電価格は毎年下がっています。
2009年度の売電価格は48円/kWhでした。
前述のとおり、2015年度の売電価格は33円/kWh(出力制御対応機器設置義務ありの場合は35円/kWh)です。

では、発電による利益は毎年下がってしまうのかといえば、そうではありません。
売電価格は固定買取制度によって、太陽光発電を設置した年の売電価格が保証されるからです。
保証期間は、10kW未満の発電容量では10年。10kW以上の発電容量では20年保証されます。
先ほどの東京での設置例でいえば、10年間は33円/kWhで買い取ってもらえるわけです。

この保証期間が終わると、売電価格はその年に設定されている金額に変わります。

1-3.補助金を受け取れる

太陽光発電を設置するにあたって、補助金が出るのをご存知でしょうか。
かつては国からの補助金が出ていましたが、こちらは2014年3月31日をもって終了しています。そのため、もう補助金はもらえないと考えている方もいるかもしれません。

しかし、地方自治体によっては、現在も独自に補助金を助成しています。

たとえば東京都港区では区民に対して、1kWにつき10万円と、設置容量に応じた補助金を助成しています(上限40万円)。

補助金は申請期間や最大出力などに条件があることがほとんどですので、詳細はお住まいの自治体までご確認ください。

1-4.初期費用の元を取ってからが本当の利益

利益を得られるといっても、太陽光発電を取り付けるには百万円単位の費用が必要になります。
この費用の元を取ってからが、本当の利益といえるでしょう。

先ほどの東京での設置例では、およそ11年で元を取れる計算となります。
具体的に確認していきましょう。

1-4-1.初期費用の回収の考え方

まず、初期費用はいくらかかるのでしょうか。

ここでは、5kWの太陽光発電を導入したとして見ていきましょう。

資源エネルギー庁の「最近の太陽光発電市場の動向及び前回のご指摘事項について」によれば、40.9万円/kW(2013年10-12月期)となっています。
これは1 kWの太陽光発電を設置したときに平均40.9万円の費用がかかるという計算です。
したがって、5kWの太陽光発電を設置すると、約200万円の費用がかかるということになります。

次に、この200万円の初期費用を何年で回収できるか計算してみます。

まず、前述の補助金です。ここでは、港区の補助金を受け取ったと仮定してみましょう。
港区では1kWにつき10万円、上限で40万円が受け取れますので、5 kWの太陽光発電では40万円を受け取れます。
したがって、実質的にかかった初期費用は160万円ということになります。

1-1.売電による利益の計算方法」での試算によると、削減した電気代と売電によって得られる利益は、年間約15万円でした。
売電価格は10年間保証されますので、10年で約150万円を回収できます。
残りは10万円です。

10年目以降は新しく設定される売電価格で計算しなければいけませんが、将来の売電価格を予想するのは非常に困難です。
ただ、先ほど確認したとおり、電気代を年間で7万円削減できる計算です。
売電価格が落ち込んでいたとしても、1年程度で回収できるでしょう。

以上のように、およそ11年で元を取れる計算となります。

1-4-2.元を取ったあとの利益は計算しにくい

元を取ったあとに、どれくらいの利益が得られるのか。とても気になるところだと思います。
しかし、具体的に金額を予想するのはとても困難です。

前述のとおり、売電価格がどうなるかを予想するのは難しい問題です。売電価格は毎年下がっているので、いつまで値下げが続くのかは予想できません。
また、太陽光パネルも劣化によって性能が低下しますので、発電量は少し下がります。

こういった事情から、予想は難しいのです。しかし、光熱費を削減できることは変わりません。

また、今後なんらかの事情で光熱費が大幅に上がることがあれば、自宅で使う分の電気を賄えることが大きなメリットになります。

2.停電のときでも電気が使える

もしもの停電のとき、太陽光発電は非常用電源として使うことができます。
これは、自宅で発電しないと得られない、絶対的なメリットだといえます。

役立つのは、災害によって直接電気が止まってしまうようなケースだけではありません。
東日本大震災の際の計画停電のように、大きな被害が出ていない地域でも電気が止まる可能性はあります。

携帯電話の充電に利用すれば、災害時に家族との連絡を取るときに役立ちます。
また、テレビに利用すれば、情報収集などで心強い味方となってくれます。
電気が使えないというのは想像以上にストレスや不安を引き起こします。
とくに不安に襲われる災害時に電気が使えるということは、大きな心の支えになるでしょう。

2-1.停電時は自立運転モードに切り替える

停電時に太陽光発電を使うには、自立運転モードに切り替える必要があります。
手動による切り替えが必要ですので、ここで手順をご紹介します。
基本的にボタンのON・OFFやコンセントの抜き差しのみで、特殊な操作は必要ありません。

まず、太陽光発電ブレーカをOFFにします。
次に、自立運転モードに切り替えます。
これらを確認し、使いたい機器を自立運転コンセントに差し込めば利用できます。
パワーコンディショナーに接続された機器の消費電力が表示されますので、発電状況を確認しつつ使用しましょう。

なお、機器によって操作は異なります。実際の切り替えの際には、必ず付属の取扱説明書をご確認ください。

2-2.使える電化製品の目安

自立運転モードは、発電した分だけ使えるわけではありません。
パワーコンディショナー1台につき1,500Wという上限があります。
では、1,500Wでどんな電化製品が使えるか確認してみましょう。

消費電力の目安としては、6畳用のエアコンで約500W、液晶テレビ32V型で約50W、電球蛍光ランプ15形で約12Wといった具合です。
エアコンなどは最新のものほど省エネに優れており、消費電力に差があります。
使用の前には、必ず確認しましょう。

また、上限1,500Wといっても、天気の悪い日は発電量が落ちてしまいます。
電子レンジや炊飯器といった1000Wを超える家電を使うときは、発電量を確認しつつ使う必要があります。

3.半永久的に使えるクリーンエネルギー

太陽光発電のメリットのひとつとして、クリーンなエネルギーであることが挙げられます。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、大気を汚染する物質も出しません。
太陽光発電協会の「表示ガイドライン」によれば、CO2削減効果は1kWあたり年間で314.5kg。
原油の削減量 は、1kWあたり年間で227リットルになります。

しかも、太陽の寿命はあと50億年と言われていますので、石油のようにエネルギー源の心配をする必要がありません。

現在の電力の大半は、環境への負担の大きい火力発電によって供給されています。
一人ひとりがもたらす影響は微々たるものかもしれませんが、太陽光発電を導入することによって環境問題に貢献することができます

4.電力の自由化に備えて

2016年4月から電力の小売全面自由化が始まります。
今まで電力会社は住まいの地域によって決められ、選択肢はありませんでした。
2016年4月以降は、各家庭でも電力会社を自由に選べるようになります。
これによって、電気事業者同士の競争が活性化し、電気代の値下げやより良いサービスの提供が期待されています。

その一方で、すでに電力の自由化が行われている海外では、電気代の上昇や大規模停電といった事態が発生しています。
太陽光発電は、こういった事態に備えるうえで重要な役割を担います。

4-1.電気代が上がるかもしれない

海外では電力の自由化によって、結果的に電気代が上がってしまったという事例があります。
今回はそんな事例のなかから、ドイツの事例を見ていきましょう。

4-1-1.ドイツで起きた電気代の上昇

ドイツは8社の大手電力会社と地域のインフラ会社によって、電気の供給が行われていました。
1998年から電力の自由化が始まり、100社以上の新規事業者が参入。電力の自由化が始まって2年間は、電気料金が下がりました。

電力の自由化に際して、既存の大手電力会社は二つの対策を立てました。
まず、送電線の使用料金を高く設定すること。
送電線の使用料金とは、簡単にいえば電線で電気を送るときの通行料。
言いかえるなら「荷物を運ぶのに道は使わせてあげるけれども、通行料は支払いなさい」ということです。通行料がかさんでしまえば、運ぶ荷物の価格も高くするしかありません。
これにより、新規事業者へ負担をかけました。
次にコスト削減を行い、電気の小売価格の値下げに踏み切りました。
いずれも大きな会社だからこそできる値下げです。

きびしい価格競争が続き、新規事業社の倒産や撤退が相次ぎます。
既存の大手電力会社も統合されて、4社にまで集約されました。
結局、電力小売のシェアは大手電力会社だけで70%強を占めるに至り、価格競争は落ち着きを見せ始めます。

その後、燃料費の上昇や環境税の引き上げなどが起こり、なんと電気代は電力の自由化が始まった1998年当時よりも高くなってしまいました。
結果としてドイツでは、事業者同士の競争や価格低下の面で芳しい結果を得られなかったということです。

4-1-2.太陽光発電で電気代上昇の影響を減らす

当時のドイツと現在の日本の状況には、共通する部分がいくつかあります。
まず、日本も東京電力を始めとした10社の電気会社が、地域ごとに電気を供給しています。ドイツも8社の大手電力会社が電力の供給を行っていました。

また、日本でも2015年11月現在、100社前後の新規参入が見込まれています。
これもドイツでの事例と共通します。

もし日本でも過度の価格競争が起こることがあれば、結果的にドイツのように電気代が上がってしまうかもしれません。

そうなったとき、自宅で電気を発電できる太陽光発電があれば、価格の変化の影響を少なくすることができます。

4-2.停電が増えるかもしれない

電力の自由化によって、停電が心配されています。
実際にアメリカでは電力の自由化以降、大規模な停電が起きてしまいました。
そのため、日本でも停電が起こってしまうのではないかと心配されています。
では、アメリカでどのようなことが起こったのか確認していきましょう。

4-2-1.アメリカで起きた大規模な停電

アメリカは電力の自由化を始めることよって、構造的に停電に陥りやすい下地を作ってしまいました。

1996年の市場の自由化により、すべての発電業者に送電網が開放され、小規模な事業者も発電事業に参入できるようになりました。

電力の需要が増えていくことを見越して、発電事業者はあっという間に増えました。
その一方で、送電事業への新規参入はほとんどありませんでした。
発電業者と送電業者の関係は、例えるなら車を作る会社と道路を整備する会社が分かれているようなものです。
車(発電)は需要が増えるのでどんどん売上も増えます。
しかし、道路(送電)はすでに出来上がっているものを整備するだけなので、あまり大きな売上アップは望めません。
大きな売上にもならず地道な作業が必要な送電業が避けられ、売上増が見込める発電業に新規参入が集まるのは自然なことでした。
結果として、送電設備の強化や整備をしていないにもかかわらず、発電量ばかりが増え続け、送電網に大きな負担がかかりはじめました。

このような構造上の問題が、後の大停電の下地になったといわれています。

その後、2000年から2001年にかけてカリフォルニア州が電力危機に陥り、大規模な輪番停電が行われました。
これにより200万人が影響を受けたと言われ、カリフォルニア州は2001年9月に電力小売の自由化を中断しました。

2003年8月には北米大停電が発生しました。
完全復旧には2日以上かかり、約5000万人が影響を受けたと言われています。
被害金額は40億ドルから100億ドルともいわれており、甚大な被害が出ました。

アメリカではこれ以降もたびたび停電が起きています。

4-2-2.日本では停電の心配はあまりない?

日本の電力の自由化では、たとえ契約している電力会社が倒産しても電気の供給は止まらない制度になっています。
アメリカで問題になった送電設備も、2020年4月まではこれまで通り地域の電力会社が扱います。
※2020年4月以降は、送電設備を扱う部門を別会社化することが義務付けられています。

また、アメリカの事例は州と連邦政府が絡み合う、日本にはない複雑な事情から停電が起きています。
そのほかにも燃料費の上昇をはじめとした、様々な原因もありました。
電力の自由化が始まったからといって、停電が起きるわけではありません。

しかし、整備や管理のノウハウを持たない業者によって運営された結果、停電が起きる可能性はあります。
そんなとき、もしもの停電に役立つ太陽光発電のメリットが活かされるでしょう。

4-3.電力の自由化によって売電価格が上がる

太陽光発電は電力の自由化によって、直接的なメリットが得られます。電気の買い取り価格が上がるのです
実は電力の自由化によって、電気の購入先だけでなく、発電した電気を売る相手も選べるようになります。
その結果、電気の買い取りでも競争が生まれ、固定買取価格よりも高く買い取るという企業を現れたのです。

すでに、現在の電気の買い取り価格である33円よりも、高く買い取ってくれる企業がでてきています。

現在発表されているサービスを見てみると、そのほとんどが固定買取価格より1円高く買い取るというプランを発表しています。
たった1円と思うかもしれませんが、年間で考えるとかなりの利益になります。

ここでも前述のように、年間の予想発電量5500kWから計算してみましょう。
現在の売電価格33円で181,500円、新しいサービスの34円で187,000円となります。
たった1円で、年間5500円も差がつくのです。

2016年1月現在で受け付けているのは、パナソニックの「ソーラープレミアム」のみです。なお、こちらも新規受け付けは2016年5月31日までとなっています。
ソフトバンクグループの「電力買い取りサービス」は、第一期の受付を終了。エナリスのプレミアム買い取りサービスも終了しています。 今後も競争のなかで、新たに買い取りに参入する会社が増えるかもしれません。

5.まとめ

太陽光発電のメリットの話題は、売電による利益やエコが中心になります。

しかしこの記事で確認してきたとおり、太陽光発電は停電への対策や光熱費を浮かすという役割も果たせます。
この役割が電力の自由化以降、大きなメリットになる可能性があります。

とくに海外での先行事例をみるかぎり、電気代の上昇は十分に起こりえることでしょう。
世間で電気代が上がるほど、太陽光発電を導入している家庭はメリットが大きくなります。

また、固定買取価格よりも高く買い取りをしてくれる企業が現れたことも、重要なトピックスです。
これまで下がる一方だった売電価格が上がるのは、太陽光発電を運用している全ての人にとって朗報でしょう。

ぜひ電力の自由化が始まるこの機会に、太陽光発電について改めて考えてみてください。