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太陽光発電にデメリットはないの?知っておくべき3つの要素

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2015.12.10

太陽光発電の導入を検討すると、いくつものデメリットに不安を覚えてしまうかと思います。
実際に、太陽光発電で得をできない人もいます。
ですから、デメリットについてよく知ることが大切なのです。

この記事では家庭用の太陽光発電を検討される方へ向けて、高額な初期費用から設置後の思わぬ落とし穴まで、一つひとつ明らかにしていきます。
太陽光発電に向いている環境が、きっとわかるようになるでしょう。

1.太陽光発電は元を取れるとは限らない

太陽光発電の導入にあたって、最初の壁となるのが高額な初期費用です。
また、この初期費用のあとも、メンテナンスや撤去に費用がかかることを忘れてはいけません。
太陽光発電の最大のデメリットは、これら費用を回収できるかわからないことです。
この章ではわかりにくいコストの仕組みから、回収できないことがあるリスクついて解説していきます。

1-1.初期費用には数百万のお金が必要になる

平均的な規模の太陽光発電を導入するには、200万円近い費用が必要になります。

まず、太陽光パネル自体が高額です。
2015年現在、安いメーカーを選んでも1枚あたり5万円以上はかかります。20枚ほど設置すれば、それだけで100万円以上の費用が掛かります。
ちなみに太陽光パネルを20枚ほど設置すると、およそ3~5kWの発電容量となります。発電容量の開きは太陽光パネルの性能差によるものです。

次に、発電した電気を家庭用の電流に変換するための機械であるパワーコンディショナーが必要になります。
これもなかなか高価なもので25~30万円は掛かり、発電容量によってはさらに高額な場合もあります。

そして、これらを設置するための工事費用が必要なことも忘れてはいけません。
工事費用は屋根の形状によっても変わり、作業をするための足場を作るなど必要に応じて変わります。
資源エネルギー庁の「太陽光発電システム等の普及動向に関する調査」によれば、2012年度(2012年4~12月)時点の平均で74,609円/kWの工事費がかかるとされています。
新築の住宅に太陽光発電を導入する場合は59,637 円/kWとなり、費用を抑えることができます。

これらを合わせた設置までにかかる平均費用は、資源エネルギー庁の「最近の太陽光発電市場の動向及び前回のご指摘事項について」によれば、40.9万円/kW(2013年10-12月期)と発表されています。

太陽光発電普及拡大センターの「平成年26度住宅用太陽光発電補助金交付決定件数(対象期間:平成26年4月1日~平成27年2月23日)」によれば、平均設置容量は4.56kWなので、1kWあたりの平均費用から計算すると約186万円の費用がかかるということになります。

なおこれらは平均費用であり、メーカーや設置容量、販売業者によって金額は大きく変動します。

1-2.元を取るまでは十年単位

では、実際にこれだけの費用の元を取るには、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
シンプルに計算すれば、「初期費用」と「予想されるメンテナンス費用」を合算し、それを月々の「浮いた光熱費と売電収入」で割ることによって、元を取るまでにかかる期間がわかります。

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仮に初期費用に186万円、メンテナンス費用に30万円が掛かり、月の光熱費が5千円安くなり1万円の売電収入が得られたとします。

初期費用はメーカーやシステムの規模などによっても大きく変わり、地方自治体から補助金を受け取れる場合があります。
金額は自治体によって違い、5万円程度から数十万円まで支給される場合があります。

たとえば東京都港区では区民に対して、最大出力に応じて1kWにつき10万円、上限で40万円もの補助金を助成しています。
出力が10kW未満の太陽光発電に対してといった条件はありますが、平均設置容量は4.56kWなので多くの方が対象になると考えてよいでしょう。
この補助金を受け取れれば、費用の元を取るまでの期間は2年ほど短くなる計算となります。
補助金は申請期間が決まっていることがほとんどなので、詳細は住まいの自治体までご確認ください。

メンテナンス費用については後述します。ここでは30万円と設定します。

最後の光熱費と売電収入については、各家庭で一つとして同じ結果にならないほど差があります。
ここでは東京電力が公表している世帯ごとの電力平均使用量とメーカーが提供している年間推定発電量から概算で計算しています。

今回は12年と計算されましたが、効率よく発電できれば10年以内に元を取れることもあります。
逆に太陽光発電に不向きな環境では、20年かけてようやく元を取れるということもあるのです。

1-3.初期費用を渋ると安物買いの銭失いに

数百万円もの費用がかかるのであれば、できるだけ安いものを買おうと考えたくなりますよね。
しかし、金額のうえで安くてもお得な商品とは限りません。
安物買いの銭失いで、初期投資を渋ると結果的には損をしてしまうことがあります。

たとえば太陽光パネルは品質によって変換効率が異なり、長い目でみると発電量に大きな差が生まれます。
また、寿命の面でも高純度のシリコンは劣化しにくく、こちらも時間が経つほど発電に影響を与えます。

では、お得な太陽光発電はどう選べばよいのかといえば、kW単価を基準にするとよいでしょう。
kW単価を求めることによって、1kWを発電するための設備にどれだけのコストが掛かるのかがわかります。
計算方法は以下のようになります。
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コストの総額には、工事費用やパワーコンディショナーの費用なども含みます。

それでは、二つの設置例をkW単価で比較してみましょう。
ひとつは、200万円のコストをかけて5kWの発電ができる太陽光発電を設置した例です。
計算すると、40万円のコストをかけて1kWの発電ができる太陽光発電を設置したことがわかります。
これで1kW単価40万円となります。

もう一方は、150万円のコストをかけて3kWの発電ができる太陽光発電を設置した例です。計算すると、1kW単価50万円となります。

一見すると、先に挙げた例は太陽光発電を導入にするのに200万円も掛かったので損をしたと感じます。
しかしkW単価でみると、150万円で設置した例は1kW単価で50万円掛かっているのに対し、200万円で設置した例は1kW単価40万円に抑えられています。

つまり、200万円を掛けた例のほうが、性能の良い太陽光発電をお得に設置できたということがわかるのです。

1-4. 割高な見積もりに注意しよう

初期費用が抑えにくいからといって、提示された見積もり金額が絶対とは限りません。
多くの人が太陽光発電の相場について知らないのをいいことに、割高な見積もりを出す業者もいます。

国民生活センターに寄せられた「ソーラーシステムにまつわる相談」は2012年以降4,000件を下回る年はなく、「費用が同業他社よりも明らかに高額だった」という相談も見られます。
また、寄せられた相談の半数以上は訪問販売によるものであり、相見積もりを行わないで購入してしまったと思われます。

一社の見積もりだけで満足せず、しっかりと適正な価格であるかを確認することが大切です。

1-5.ローンを組むと損をしかねない?

高額な商品を購入する際に、ローンを検討される方も多いと思います。
しかし、太陽光発電におけるローンには、将来的にローンの金額は変わらないのに得られる利益が下がっていくというリスクが起こりえます。

なぜそのようなことが起きるかというと、売電価格が年々下がっており、将来的にもまだ下がっていくことが予想されているからです。なお、売電価格については後述します。
とくに売電価格の買い取り金額を保証してくれる10年を過ぎると(10kW以上の太陽光発電では20年)、がくっと利益が下がる恐れがあります。

ローンを利用する際、売電価格の保証期間内で返済できるように組み立てれば、このデメリットは回避できます。

太陽光発電を導入するにあたって、ローンの選択肢は大きく分けて二つになります。

新築に合わせて導入する場合は、住宅ローンに費用を組み込んでしまうとよいでしょう。住宅ローンは低金利ですので、売電価格の低下によるデメリットの影響を一番少なく導入できます。

後付けの太陽光発電の場合は、ソーラーローンと呼ばれる太陽光発電専用のローンを利用するとよいでしょう。
一般的なローンと比べて金利は非常に低く、条件によっては金利1%台の商品もあります。
ただし融資期間は10年または15年の場合が多いので、金利分を含めてしっかりと収支をイメージしましょう。

1-6.メンテナンス費用はかかる

費用面での新たなデメリットとして、メンテナンス費用を太陽光発電のコストとして含むように変わってきました。
「太陽光発電にメンテナンスの必要はない」というメーカーのうたい文句もあってか、まだ太陽光発電は放置したままで大丈夫という意見はあります。
しかし、屋外に長いあいだ設置するものですから、不具合を起こすリスクはあります。

2010年にNPO法人太陽光発電所ネットワークが発表した「メンテナンスフリーでない太陽光発電への賢い対処」によれば、1993年から2006年までに設置された太陽光発電のうちの3割に、パワーコンディショナーと太陽光パネルのどちらか、あるいはその両方にトラブルが起きていました。

また、産業技術総合研究所太陽光発電工学研究センターの調査によれば、設置されている太陽光パネル内部の劣化などにより電気が熱に変換されてしまい、非常に高温になってしまうというケースが散見されています。
パネル自体に発火の恐れはありませんが、太陽光パネルと屋根のあいだに枯葉などの可燃物が溜まっていることがあり、安全の保証はできないといわれています。

このように太陽光発電の運用例が増えることによって、メンテナンスの必要性が明らかになってきました。
太陽光発電協会の「太陽光発電システム保守・点検ガイドライン【住宅用】」によれば、4年ごとに1回以上のメンテナンスを推奨しています
メンテナンス費用は2万円以上が目安です。20年の運用で10万ほどのメンテナンス費用が必要となる計算になります。

なお、施工業者によってはアフターサービスとして、定期メンテナンスを行っている場合があります。
施工の前に、サービスの有無を確認しておくとよいでしょう。

経済産業省資源エネルギー庁「太陽光発電フィールドテスト事業に関するガイドライン基礎編(2013 年度版)」によれば、故障からの復旧に最大で5ヶ月も掛かっている事例もあります。
メンテナンスの手間を掛けることで、後々の大きな出費を防ぐことができるというわけですね。

1-7.太陽光パネルの寿命、パワーコンディショナーの寿命

太陽光発電は長く運用していくものです。
そこで気になるのは、機器の寿命です。機器が寿命を迎えれば、買い替えや修理で追加費用が必要になります。
ここでは、必要となるかもしれない追加費用というデメリットを検討してみましょう。

太陽光パネルの寿命は、国税局が発表した「自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入」によれば、17年の耐用年数とされています。
とはいえ、これはあくまでも目安。実際には発電効率は低下しつつも20年から30年ほどの運用は可能といわれています。
実際に最近では、25年間の無償保証を始めるメーカーがあります。

家庭用太陽光発電の歴史はまだ浅く、実働が20年を超える例もあまり多くはありません。
運用されている太陽光発電のデータが集まることにより、この数字がさらに伸びていく可能性は十分にあるでしょう。
つまり、多くの太陽光パネルについては、元を取るまでの期間で寿命を意識することはあまりないといえるでしょう。

しかし、パワーコンディショナーについては太陽光パネルよりも寿命が短く、10年から15年ほどです。
パワーコンディショナーの保証期間も10年から15年ほどなので、保証期間を過ぎたあとの故障も珍しいことではありません。
修理費用は一般的に5万円程度で、状態によっては買い替えが必要になることもあります。

購入時にはメーカーによる保証をよく確認しつつも、5万円程度の修理費用から20万円前後の買い替え費用はかかるものと考えておくべきでしょう。
1-2.元を取るまでは十年単位 」でメンテナンス費用を30万円と設定しましたが、この買い替え費用と前述のメンテナンス費用を合わせた計算となります。

1-8.撤去をするのにもコストはかかる

何十年と太陽光発電の運用を続けた先には、故障と屋根の修繕時期が重なるなどして、これを機に取り外してしまおうと考えるときがくるかもしれません。
見落としがちですが、最後に撤去費用がかかることがあります。

では、そもそも発電を停止した太陽光パネルは撤去するべきなのでしょうか。
結論からいえば、慌てて取り外すことはないといえるでしょう。

太陽光パネルを設置したままにしておくメリットとしては、屋根の紫外線による劣化を遅らせることや、日除けになり夏場の室内の気温上昇を防ぐなどが挙げられます。

デメリットとしては、設置したままでは屋根の修繕ができないことです。
また、管理を怠ると、強風などの災害により落下事故につながりかねないというリスクもあります。
設置を続ける以上は、機能が停止していても安全に取り付けられているか確認する必要があるのです。

撤去を行うにしても、前述のとおり家庭用の太陽光発電の歴史は浅く、2015年現在では不要となったパネルの処理については明確に定められていません。
使用済み太陽光パネルの回収については、一般財団法人太陽光発電システム鑑定協会がサービスを開始したばかりです。
なお、太陽光パネルにはリサイクル可能な物質だけでなく有害物質も含まれているので、個人での処理はできません。

撤去にあたっては、設置の際と同様に解体にかかる工事費や屋根の修繕費が必要になるとなります。
なお、屋根との一体型の太陽光パネルであれば、当然ながら撤去の必要性はありません。

2.様々な要素に左右される太陽光発電

前述のとおり、太陽光発電の最大のデメリットは支払ったコストを回収できるかわからないことです。
ここからは、そのコストを回収するための発電と売電について考えてみたいと思います。

太陽光発電は気象条件や売電価格の変動によって、得られる利益に大きな差が生まれます。
これをしっかりと理解すると、太陽光発電で元を取れるか知るのにとても役立ちます。
それでは、太陽光発電はどんな要素によって影響を受けるのかを考えていきましょう。

2-1.天候による発電量の減少

太陽光というくらいですから、日光が遮られれば発電量は減少します。
晴天時を100%とすると、曇天時で10%から30%、雨天時で5%から20%の発電量に落ち込みます。

曇天時の発電効率が良い太陽光パネルもあるので、住まいの地域の天候から製品を検討してみるのもよいでしょう。
また、住まいの地域が太陽光発電に向いているか知りたいときは、新エネルギー・産業技術総合開発機構が提供する「日射量データベース」が参考になるでしょう。

ちなみに、夜間の発電量はパワーコンディショナーが起動しないほど微弱なので、発電はしないものと考えて差し支えありません。

2-2.発電量を左右する3つの要素

太陽光発電は地域による気象条件の違いで、発電効率に大きな差が生まれます。全国津々浦々、同じように発電してくれるわけではないのです。
発電量に大きく影響を与えるのは、3つの要素です。
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太陽光が降り注ぐ時間である日照時間。
太陽光パネルに効率よく太陽光が当たる日射角度。
気温による太陽光パネルの発電能力の低下。
気象条件が整っていると、より高い発電量が実現されます。
日照時間、日射時間、気温はどんなにがんばっても変えることはできません。太陽光発電の導入にあたっては、住んでいる地域の気象条件を見極めましょう。

2-2-1.日照時間は日数にして30日以上の差がつく

地域によって、日照時間には明確な差があります。
たとえば、「日本海側の冬は常に薄暗い」といったイメージを持ってはいないでしょうか。
実際に気象的にも「日本海側気候」という分類があり、冬場は北西季節風のために曇天や降雪が多いとされています。

気象庁が発表している全国の1981年から2010年までの「年間日照時間」によれば、最も日照時間が長いのが和歌山県の潮岬で2,201時間。最も短いのは鹿児島県の名瀬で1,360時間となっています。
地域によって実に841時間、日数にして30日以上も日の当たる時間に差があるのです。

イメージだけで自分の住まいが太陽光発電に向いていないと決めつけてしまうのは早計です。
たとえば、雪国である北海道は日照時間が少ないと思われるかもしれませんが、帯広では2,033時間の日照時間があります。
これは全国平均の1,864時間を大きく上回り、全国の年間発電量でも高水準に達する地域です。
日照時間が高いほど、安定して発電できます。

2-2-2.日射角度によって発電量に差がつく

それでは、日照時間が短い土地は太陽光発電に向かないのかといえば、そうとも言い切れません。
太陽光発電には、太陽光パネルに効率良く日差しが降り注ぐ日射角度も大切だからです。
決して日照時間が長いとはいえない沖縄も、日射角度が優れるために日射量は上がります。
たとえば、前述の「年間日照時間」によれば、沖縄県の那覇で1,774時間、京都で1,775時間とほとんど差はありません。
しかし、各メーカーの提供する全国の年間推定発電量を参照するとその差を確認できます。

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※参考:東芝 全国各地の年間推定発電量

太陽光パネル自体も傾きをつけて設置するものですが、すべての太陽光パネルが適切な角度で設置できるとは限りません。
そのため、地域ごとの日射角度の差は重要な要素になります。

2-2-3.気温の高さは発電効率の天敵

発電効率には、温度による損失が大きく関係します。気温が高いほど、太陽光発電の効率は悪くなってしまうのです。
たとえば、年間推定発電量が高く試算される長野県の松本は、夏場でも涼しい気候によって効率的な発電を実現しているといわれています。
長野県の年間日照時間は1,940時間と、決して突出した数字ではありません。
しかし、涼しい気候による効率的な発電によって、高い発電量が実現されるのです。

2-3.売電価格の保証期間が終わったら

ここまで発電に影響する気象条件についてみてきました。ここからは発電した電気を売る制度である、売電について考えていきたいと思います。
売電の先行きは不透明です。これは支払った費用の元を取れるかに直結する、大きなリスクです。

売電価格は2009年度で48円/kWhでしたが、2015年度には33円/kWh(出力制御対応機器設置義務ありの場合は35円/kWh)まで下がりました。
このように売電価格は毎年下がっており、この傾向は続いていくとみられています。

ただし、固定価格買取制度によって売電価格は10年ないし20年間保証されます。
たとえば2015年に太陽光発電を導入すれば、2025年または2035年まで33円の売電価格が保証されます。

逆に言えば、この保証期間が終わると売電価格は大きく下がっていることでしょう。当然ながら、売電によって得られる利益も大きく下がります。

また、長い期間をかけて元を取ろうと考えていると、「1-6.太陽光パネルの寿命、パワーコンディショナーの寿命」で確認したとおり、機器の故障のリスクが高まっていきます。
売電による利益が下がってしまった状態で、パワーコンディショナーを買い替えなければいけないといったこともあるでしょう。

太陽光発電を設置した家は第二の年金の役割を果たすといわれ、売電によって20年間で1,000万の利益が得られると宣伝するメーカーもありました。
しかし、このような試算は過去のものです。
今後は利益を求めるばかりでなく、日々の電気代を賄うことを目的とした運用を進めていくべきかもしれません。

3. 自分だけではなかなか気づけない太陽光発電の落とし穴

ここからは太陽光発電のコスト面以外のデメリットへ視点を移してみたいと思います。
太陽光発電の落とし穴には自然現象によって起きてしまうことをはじめ、自宅の環境や設置業者の怠慢など、いろいろな原因があります。
ここからはそれらを一つずつ確認し、対策を考えてみましょう。

3-1.自宅が日陰になってしまうかもしれない

用途地域の指定によっては、後々になって近隣に高層建築物が建設されてしまい、自宅が日陰になってしまう恐れがあります。
用途地域とは市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、都市計画法によって規定されています。
たとえば指定のひとつである商業地域は、ほとんどの商業施設を規制なく建築することができるエリアです。
条件によっては高層建築物も認められ、日当たりについての権利である日照権も保障されません。
低層住居専用地域に指定されている地域なら、高層建築物は建設されません。

用途地域によっては、太陽光発電が無用の長物になってしまう恐れがあります。
太陽光発電の設置の前には、忘れずに自宅の用途地域を確認しましょう。
また、工場地域や商業地域などに指定されていた場合、自宅の周りに高層建築物や工場などを建設できるような空き地がないか確認しておきましょう。

3-2.家のデザインに制約を受ける

太陽光パネルが屋根にどっしりと載っていることに、抵抗を覚える方もいるでしょう。
太陽光パネルはその材質上、デザインの融通がききません。家のデザインにこだわりを持っている方には、大きな制限となります。

また、京都市や鎌倉市などの景観に重きを置く地域では、設置に際して基準が定められている場合があります。
規制の度合いによって、デザインの制約があったり、太陽光パネルの設置自体ができない場合があります。
設置の前には、自治体への確認が必要となります。

3-3.実は多い雨漏り被害

国民生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターには、雨漏り被害の問い合わせが多く寄せられています。
その原因は太陽光パネルの設置によって、「屋根に敷かれている防水シートが傷つく」、「瓦屋根がずれる」といったものです。

この被害の背景には、急激な太陽光発電の普及に合わせて、施工業者から参入した能力のない業者の存在があります。
実績豊富な施工業者に任せる、リフォーム瑕疵保険に加入していることを確認するといった対策を立てて、問題を防いでいきましょう。

3-4.隣人の迷惑になる反射光

太陽光パネルからの反射光によって、隣近所へ迷惑をかけてしまうことがまれにあります。

反射光によって裁判にまで至った、横浜市での事例を確認してみましょう。
新築住宅の屋根に設置された太陽光パネルによって光が反射し、耐えられないまぶしさが射し込んできたとして撤去を求めたという事例です。
一審では反射光の被害を受けた原告の訴えが認められ、損害賠償の支払いが命じられました。
しかし二審判決では一転して、反射光の被害の回避は可能であると一審の請求が棄却されました。

この判決で注目したいのは、回避できる被害であれど反射光の存在を認めているということです。
そのため現在、太陽光パネルは基本的に北面へ設置されません。東西面への設置でも、太陽の位置や高度によって、反射光が地上方向へ向かう場合があります。
とくに説明もなく北面へ太陽光パネルを設置しようとした場合などは、悪質な業者の疑いがあります。

近くの住宅に大きな窓があるなど、反射光のトラブルにつながりそうな物件がある場合は、
施工業者へ確認しましょう。

3-5.雪の滑落による事故

国民生活センターには、太陽光パネルから滑落した雪が当たり負傷したという事例が寄せられています。
同様に、物置に雪が落ちることで屋根が破損したといった事例も寄せられています。

国民生活センターはこれら事例から、パネル上を滑り出た積雪は一般的な屋根と比べて遠くまで落下することを指摘しています。
また、普段降雪の少ない地域ほどパネルに落雪止めの処置を行っておらず、都市部ほど近隣に被害が起きる可能性が高いといった点も指摘しています。

しっかりと対策を取れば防げる事故ですので、工事の前に設置業者に相談してみるとよいでしょう。

3-6.低周波騒音による健康被害

太陽光発電によって低周波騒音が起き、体調を崩すと話題になることがあります。
これは話を混同した間違いで、低周波騒音によって健康被害が訴えられたのはエコキュートというヒートポンプ給湯機です。

エコキュートは電気によって効率的にお湯を沸かす装置で、光熱費の削減に役立ちます。
太陽光発電を導入する際、発電した電気を効率よく使うためにオール電化住宅へ切り替えることが多く、あわせてエコキュートが導入されます。
このため、低周波騒音が太陽光発電の問題と混同されると思われます。

エコキュートは一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターの発表によれば、2015年10月現在で486万台設置されています。
この台数と比して低周波騒音の発生件数は少なく、残念ながら発生のメカニズムは解明されていません。
また、低周波の振動を感じるかはその人次第で、体調によっても感じ方は異なります。
しかし、事実として健康被害を訴えている人たちはおり、その影響については専門家も認めています。

低周波騒音の問題を未然に防ぐのは難しく、太陽光発電とあわせてエコキュートを導入する場合は、まずこんな問題が起こることもあると理解しておくことが大切です。

また、エコキュートに比べて光熱費の削減割合は減ってしまいますが、電気温水器であれば低周波騒音の心配はありません。

3-7.災害による故障や二次被害

太陽光発電は災害などによって停電した際に役立つとして注目されています。

しかし、自然災害によって太陽光パネルなどが破損し、二次的な被害が発生することが懸念され、すでにいくつかの被害が報告されています。

2015年8月には九州を縦断した台風15号が巻き起こした強風により、太陽光発電施設のパネルが大量に飛ばされました。
幸いけが人は出ませんでしたが、太陽光パネルは周辺の民家に直撃して大きな被害を与えました。

同年9月には、台風18号の影響により鬼怒川が氾濫。多くの住宅が浸水する事態となりました。
この事態に太陽光発電協会は、水没している太陽光パネルに近づくと感電の恐れがあると呼びかけました。

とくに強風による被害は、しっかりとした設置工事と定期的なメンテナンスで防ぐことができますので、十分な対策を整えておくべきでしょう。

3-8.太陽光発電を設置できない住宅

太陽光発電はすべての住宅に設置できるわけではありません。
住宅の耐久性に不安があると見なされた場合や、屋根に用いられている耐熱材の種類、また工事の手法などによって、設置できないと判断される場合があります。

ただし、軽量な太陽光パネルを扱うメーカーもあり、ある会社では不可能といっても、違う会社は設置可能と判断する場合もあります。
無理な施工は前述の雨漏りや強風による被害に直結してしまいますので、施工業者とはしっかり相談をしましょう。

4.まとめ――損得勘定だけで考えるべきではない太陽光発電

デメリットから考えてみることによって、太陽光発電についてだいぶ理解が深まったと思います。
太陽光発電のデメリットは、設置を見送る理由になるものもあれば、人によっては全く問題にならないこともあります。
環境への取り組みや停電への備えといったメリットと合わせて、太陽光発電について考えてみましょう。